褥瘡は、一般的に「床ずれ」と呼ばれ、長時間同じ体勢でいることによって特定の部位に圧力がかかり発生します。特に骨が皮膚の近くにある部分は褥瘡になりやすく、高齢者や長期臥床を必要とする方にとって深刻な問題となることがあります。代表的な好発部位として、最も圧力のかかりやすいお尻が挙げられるでしょう。また、ベッドに寝ている際にマットレスと密接するかかとや、体重が集中しやすい肘、肩甲骨の後ろ、膝の裏なども要注意部位です。これらの部位は、体の重みによって持続的に圧力がかかりやすいため、特に注意深い観察と予防的なケアが必要となります。
褥瘡の予防には、いくつかの効果的な方法があります。最も重要なのは、定期的な体位変換です。長時間同じ姿勢を続けることの多い方は、2〜3時間ごとに体位を変更し、特定の部位への持続的な圧力を避けることが大切です。また、専用のクッションや特殊なマットレスを使用することで、体にかかる圧力を効果的に分散させることができます。これらの支援用具は、褥瘡予防において重要な役割を果たします。さらに、皮膚の保湿ケアも欠かせません。乾燥した肌は褥瘡が発生しやすい状態となるため、適切な保湿を心がける必要があります。
褥瘡予防の成功には、総合的なアプローチが不可欠です。好発部位への継続的な注意と観察、定期的な体位変換、適切な支援用具の使用に加え、十分な栄養と水分摂取による全身の健康管理も重要な要素となります。これらの予防策を日常的なケアとして実践することで、褥瘡のリスクを大幅に軽減することができるでしょう。褥瘡は予防可能な症状であり、適切な予防措置を講じることで、要介護者の方により快適で健康的な生活を提供することができるのです。