介護福祉士が行うことのできる医療行為の範囲は、法令によって明確に定められています。特に褥瘡(じょくそう)のケアについては、医療と介護の境界領域として重要な位置づけとなっています。介護福祉士は、褥瘡の予防や軽度な褥瘡に対するケアを実施できますが、重度の褥瘡処置や医療的な処置は、医師や看護師の指示のもとで行う必要があります。また、喀痰吸引や経管栄養といった特定の医療行為については、追加の研修を受けた介護福祉士のみが実施を許可されています。
褥瘡に関する介護福祉士の具体的な業務範囲としては、予防的ケアが中心となります。例えば、定期的な体位変換、皮膚の清潔保持、適切な栄養管理のサポートなどが含まれます。また、褥瘡の早期発見も重要な役割の一つです。皮膚の発赤や変化を日常的に観察し、異常を発見した場合は速やかに医療職へ報告することが求められます。ただし、褥瘡の処置において、軟膏の塗布や包帯の交換といった医療的な行為は、原則として看護師の業務となり、介護福祉士は、これらの処置に際して看護師をサポートする立場となります。
介護福祉士による医療行為の実施には、常に安全性の確保と適切な判断が求められます。特に褥瘡ケアにおいては、予防から早期発見、そして医療職との連携まで、包括的な対応が必要です。そのため、介護福祉士は自身の業務範囲を正確に理解し、必要に応じて医療職と緊密に連携を取ることが重要です。また、定期的な研修や勉強会への参加を通じて、最新の知識や技術を習得し、より質の高いケアを提供できるよう努めることが求められています。