褥瘡(じょくそう)、一般的に「床ずれ」と呼ばれる症状は、長時間同じ姿勢を続けることで皮膚に圧力がかかり、血流が悪くなることで発生します。特に、加齢により皮膚の弾力性が低下している高齢者や、自力での移動が困難な高齢者にとって、褥瘡は深刻な問題です。しかし、介護士による適切なケアと細やかな配慮によって、この問題は効果的に予防することができます。
褥瘡予防において、最も基本的かつ重要な取り組みが、ベッドや衣服のしわの除去です。高齢者の繊細な皮膚にとって、一見些細に思えるシーツや衣類のしわであっても、そこに局所的な圧力や摩擦が加わることで、褥瘡発生の原因となり得ます。そのため、介護士は高齢者を寝かせる際や衣服を着せる際に、これらがなめらかな状態を保てるよう細心の注意を払う必要があります。また、ベッド上での移動時には、高齢者の皮膚への負担を最小限に抑える技術を用い、必要に応じて体圧分散マットレスやクッションを活用することが効果的です。
さらに、褥瘡予防の要となるのが、適切な体位変換です。高齢者の同じ部位への持続的な圧迫を避けるため、2~3時間ごとの定期的な体位変換が推奨されています。介護士は、高齢者一人ひとりの状態に合わせた体位変換のスケジュールを適切に管理し、確実に実施することが求められます。このような日々の細やかなケアの積み重ねが、高齢者の褥瘡予防につながり、快適で健康的な生活を支える基盤となるのです。ケアの一環として、介護士が知っておくべき褥瘡の基本はしっかり身に付けておきましょう。